はじめに
この記事は、円錐角膜治療のためのCAIRS(ケアーズ)手術に向けた 術前検査の体験をリポートする連載の第2回目です。 実際の検査内容と、思っていたより痛みがなかった驚きをお伝えします。
この連載について
- 第1回:治療決断編
- 第2回:術前検査編(本記事)
- 第3回:手術当日編(予定)
- 第4回:術後経過編(予定)
※ 記事は手術の経過に合わせて随時更新していきます。 ブックマークしていただけると嬉しいです。
受付をすませ、いつもの"機械3兄弟"+1へ
検査室に入ると、見慣れた3台に新顔が1台加わり、計4台の機械が静かに待機していました。 まずは"気球がふっと現れる"オートレフや風がぱふっと当たる眼圧計など、 いつものルーティンからウォーミングアップ感覚でスタートしました。
いつもの機械3兄弟
- オートレフ:気球が浮かび上がる視力測定機
- 眼圧計:風を当てて眼圧を測定する機械
- 角膜形状解析装置:角膜の形状をスキャンする機器
- +新顔の1台:術前専用の精密測定機器
視力検査はお決まりの儀式
ランドルト環を追いながら「上」「右下」…と答えるおなじみの視力検査。 ここまでは特に緊張もなく、流れるように進行しました。 定期検診と同様の内容だったため、リラックスして受けることができました。
じわっと痛い…涙の量を調べる検査
次は目尻に細長い紙(シート)を挟んで涙の量を測定しました。 2〜3分ほどまぶたを閉じるだけですが、紙が触れる位置に意外と痛覚があり、 じわ~っと地味な痛みがありました。短い時間なのに妙に長く感じました。
涙量検査(シルマーテスト)について
この検査は手術後のドライアイのリスク評価のために行われます。 涙の量が少ない場合、術後の角膜乾燥に対して特別なケアが必要になる 可能性があります。
「黒目ちょんちょん」テスト
先端に"糸くずのような毛"が付いた細い器具で黒目を軽くつつき、感覚の有無をチェックしました。 ハードコンタクト愛用者のおかげか全く痛みゼロ。むしろ「本当に当たってるの?」と驚くほどでした。 ここで初めて「手術も案外怖くないのでは?」と小さな自信が芽生えました。
角膜知覚検査の重要性
この検査は角膜の感覚神経の状態を確認するもので、 長年のコンタクトレンズ使用で角膜感覚が鈍くなっていることもあります。 手術の際の麻酔効果や術後感覚の回復を予測するための重要な検査です。
風が強まる眼圧テスト
風が強まる①──"いつもよりパワフル"版
続けて、定期検診より少し風圧が強い眼圧テストを受けました。 痛みは皆無でしたが、反射でまばたきしてしまい測定に時間がかかりました。
風が強まる②──"ドラえもんの空気砲"級
さらに青いライトが光る近未来的な機械から、これまでで最強クラスの風が発射されました。 ビクッとなるたびに測定をやり直し、担当の方には何度も計測し直していただくことになり 申し訳なかったものの、痛みはまったくありませんでした。
手術前の正確な眼圧測定の意義
術前の眼圧測定は非常に重要です。適切な眼圧であることを確認することで 手術のリスクを下げ、より安全な手術を行うための指標になります。
麻酔点眼 & 瞳孔を開く目薬
ついに麻酔用と散瞳用、2種類の点眼を受けました。 白いボトムスが白い床に溶け込み「足どこ?」と錯覚するほど 視界がまぶしくなりましたが、もともと視力が悪いため"見えにくさ"は そこまで気にならず過ごせました。
散瞳剤の効果について
散瞳剤を使用すると、まぶしさを感じたり近くのものが見えにくくなります。 これは正常な反応で、効果は数時間続きます。運転や精密作業は控えるのが安全です。
まさかの術前で登場!開瞼器
手術動画で見て恐れていたまぶたを開きっぱなしにする器具を、 このタイミングで装着しました。 「涙、どこから補給するの…?」と不安でしたが、意外にも乾燥は感じず拍子抜けでした。
開瞼器の役割
開瞼器は検査や手術中にまばたきを防ぎ、医師が安全に処置を行うための 重要な器具です。見た目は怖いですが、実際に装着しても 思ったほどの不快感はないことが多いです。
黒目にレンズを押し当てる"角膜細胞カウント"
「レンズを直接当てるので違和感や痛みがあるかも」と言われ緊張MAX。 ところがこれも無痛でした。ただし"一点を見つめ続けてください"が 想像以上に難しく、眼球を固定する大変さを痛感しました。
角膜内皮細胞検査の重要性
角膜内皮細胞は自己再生しない貴重な細胞です。 手術前に細胞数や形状を確認することで、手術の安全性を 評価するとともに、術後の経過観察の基準値となります。
巨大マシンでパシャッと2枚
診察室では見かけない大型機器で写真を2枚撮影して終了。 ここは拍子抜けするほどあっさり終わりました。 角膜の立体構造を詳細に撮影するための特殊なカメラだったようです。
ドクター診察――手術前後の過ごし方と「ダンベル型」発覚
最後に医師から手術までの注意点と術後の生活について丁寧な説明がありました。 ここで、自分の円錐角膜が「ダンベル型」だと初めて知りました。 名前だけでもインパクト強めです。
手術前の注意点
- 手術前日からコンタクトレンズは使用しない
- 手術当日は洗顔を控える
- 化粧は避ける
- 処方された点眼薬は指示通りに使用する
円錐角膜の形状について
円錐角膜の形状には様々なパターンがあります:
- ニップル型:中央部が突出するタイプ
- 楕円型:楕円形に広がるタイプ
- ダンベル型:二つの領域が突出するタイプ
- その他の非対称形
形状によって治療アプローチや効果が異なることがあるため、 術前の詳細な検査が重要になります。
おわりに:恐怖→自信、でも"凝視スキル"は課題
今回は"怖そう"な検査が目白押しでしたが、痛みゼロ&違和感ほぼ無しで終了しました。 「これなら手術もあっさり乗り切れるかも」と大きな自信につながりました。 とはいえ"一点を見つめ続ける"のが苦手と判明したので、 当日どうやって視線を固定するのか――そこだけが少し心配です。
次回予告
次回は、いよいよCAIRS手術当日の様子をお伝えします。 手術室に入るまでの緊張感や実際の手術中の体験、 術直後の状態など、リアルな体験をレポートする予定です。
同じ病気と向き合う方々の参考になれば幸いです。 ブックマークやSNSでのシェアをしていただけると嬉しく思います。